データサービスの顧客管理

インサイドセールスのマネージャーの役割 その3

2021.03.03 12:30 PM By 松丸修身

皆さん、こんにちは


これまでにインサイドセールスのマネージャーの役割と題して「ナーチャリングの仮説立て」と「ナーチャリングのKPI」などの運用上のチェックポイントをお伝えいたしました。今回はこういった事前に決めたことのメンバーへの落とし込み方法やブラッシュアップについて私の経験をお伝えいたします。


私の経験としておりますので少し私の経歴を補足しておきます。私は現在IT、システム開発の業界におりますが、もともとは新卒から人材ビジネスに携わって25年程度の経験があります。その中で約10年は大手派遣会社にて営業のアウトソーシング事業部で受託先の営業手法を構築する業務を行っておりました。この受託案件ではインサイドセールスに相当する領域を担当することも非常に多く、いろいろな業界のインサイドセールスの構築経験があります。また自社の派遣業でも業務プロセスを切り分けて運用することを取り入れた時期もあり、この運用の設計やトレーニングなどを担当しておりました。


お話を戻し、インサイドセールスの運用のメンバーへの落とし込みについてお話をいたします。営業アウトソーシングのキックオフの際は以下の準備をしておりました。

・営業マニュアル(営業ハンドブック)の作成

・各種トークスクリプトの作成

・ヒアリングシートの作成

・キックオフ(トレーニング)の開催

・Q&A

・営業マニュアルの作成

 営業マニュアルに含める内容はの大きくは以下となります。


- 目的・目標

数字的な目標は常に提示されると思いますが、ここでの「目的・目標」はお客様への貢献や会社の目指すところを言葉に表して共有することです。企業でいうところの「理念・ミッション」といったところでしょう。


私はこの共有やメンバーの理解は非常に重要と考えています。理由はインサイドセールスを立ち上げた後は少なからずメンバー間や上司とメンバーの間で認識違いなどが生じます。

また、インサイドセールスは営業の一連の業務を切り分けているので営業本来の目標や今までの業務の目標とは異なる目標を目指しており、自分の役割やインサイドセールス自体の意義や目標を見失うことが多々あります。そんなとき自分たちが目指す事業の理念やミッションが「目的・目標」として明文化されていると判断のよりどころにできるのです。

少なくとも私はこの「目的・目標」に立ち返ることで大きな迷走から抜け出せた経験は数多くあります。


- 営業全体像

取り扱う商品・サービスの理解はもちろんのこと、インサイドセールスが顕在化ニーズや商談案件をフィールドセールスに引き渡した後にどういった展開で受注、商品・サービス提供までたどり着くのかを理解することです。自分たちの領域はインサイドセールスだとその領域ばかりにとらわれているとインサイドセールス内での施策がこぢんまりとしてしまう危険があります。自分たちの役割がインサイドセールスであってもお客さまに対しては商品・サービスを提供するメンバーとしてフィールドセールスの領域まで横断的に理解をして、業務に役立てる必要があります。


- 組織(インサイドセールス、フィールドセールス)

上記「営業全体像」にも近しい部分もありますが、まずはインサイドセールスのチーム内の対応内容やレベルを均一化することです。各メンバーの知識やスキルはもちろんですが、もっと行動レベルでお客さま接点のあるところで意識を合わせも重要です。

例えば電話対応で「すぐに確認してご連絡いたします」の『すぐ』とは「1時間以内」、「本日中」と「明日まで」など解釈できますので『すぐ』の時間的な定義を決めておくことは重要です。フィールドセールスとの連携でも「それではフィールドセールスが後ほど直接ご連絡いたします」としたときの『後ほど』を両者で共有しておくことは必要です。


さらにはそれぞれのチームや経験を踏まえて各所および対応について相互理解するためのルールが明文化されているとメンバーで判断できることも多く業務も円滑化するでしょう。

 

 - 営業情報(ターゲット詳細、ターゲットのキーマン情報)

まずはこのターゲット(業種・業界)のお客様に提供するサービスの価値を共有するところからとなります。単によい商品・サービスがありますというよりこの自社の商品・サービスを導入・利用することでどんなメリットや効果が期待できるかを各メンバーに落とし込むことです。さらには自社商品・サービスを一言で伝えることができるように共通言語の一文も共有すべきでしょう。その上でターゲット情報を踏まえ業種・業界の特徴をおさえる。さらにターゲットの業界や規模などによってお客様の意思決定プロセスも理解をしておくと誰にアポを取るべきか?誰に商品メリットや価値を伝えるべきかも大筋として見えてきますので、ナーチャリングの内容・方法もより具体的な手法が取れ効果的となります。


 - 標準的な動き(日、週、月)

日、週、月のどこが中心となるかは、商品・サービスや基本的な商談期間、ターゲット数により変わってくるでしょう。経験が浅いメンバーが多いが場合はまずは日(毎日)の基本行動モデルを提示し、その行動に沿って自分の目標値を加味しながらスケジュール立てできるようにするとよいでしょう。さらにはナーチャリングの方法が継続型なのか循環型なのかでマネージメントも変わってきますが、1か月の目標もしくは1キャンペーンの目標に対する行動目標を提示してまずは行動量やプロセスを理解できるものが提示できると指針の理解に繋がります。


「営業マニュアル(営業ハンドブック)の作成」が少し長くなりましたので今回はここまでとして、「各種トークスクリプトの作成」以下は「インサイドセールスのマネージャーの役割 その4」にてお伝えいたします。

松丸修身

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